自己破産に負けない
「今日の部内討議会は、自己破産についてよ。各自、自己破産について思うことを言ってちょうだい!」
「ちょっと待て。何でまた自己破産についてなんだ? ウチの部はごく普通の美術部だってのに……。
部費の使い道を会議するならともかく、なんで自己破産なんだよ? その辺、納得の出来る理由が欲しいんだが?」
「いいから、答えなさい。アンタはどう思うわけ? 自己破産って聞いて」
「どうって言われても……そうだな。自己破産と言えば、身の破滅って感じかな?
自己破産をすると、借金とかがなくなる代わりに、財産はなくなるらしいし。いや、詳しくは知らんが」
「まぁ、そんな感じよね。そう、自己破産と言えば、ろくなモンじゃないってのが一般的認識よね」
「それで、だから何なんだ? お望み通り、自己破産について答えたんだ。俺の質問にも答えて欲しいね」
「いやぁ……何か、ウチが自己破産しそうなのよねー」
「ウチって? え? ちょ、おま! お前の家が自己破産しそうなのか?」
「うん。そうなの。何かやばそうな感じ?」
「か、軽く言うなよ。と言うか、軽く相談してくるなよ。コメントに困るだろ? せめて個人的に相談して来いよ。
後輩も部長のいきなりの『我が家は自己破産寸前なんです』発言に、ドン引きじゃねぇか」
「でもまぁ、事実だし? それにウチが自己破産しても、別に私の経歴には傷はつかないし。特に気にはしないわ」
「お前が気にならなくても、こっちは気になるって。と言うか、気にしないなら、何で自己破産を会議のお題に上げたんだ?」
「どうでもいいんだけど、まぁ、自宅がなくなるのはちょっとイヤだしね。一応、生まれ育った家だし。
お兄ちゃんもなんかバイトを頑張ってるし、少しくらいなら私も協力してあげてもいいかなって思ったわけ。
そんなわけで、一先ず参考までに皆の自己破産に関する意見を聞きたかったわけ」
「え、えーっと……ちょっと聞くが、そもそも自己破産に追い込まれた理由は何なんだ?」
「お父さんがパチンコ依存症で、色々とお金借りまくりで、返済不能になったみたい」
「んで、親父さんは今、どんな具体的な対策案を立ててるんだ?」
「何も」
「な、何もって……マジで何も考えてないのか?」
「うん。我が親ながら、つくづく駄目だわ。あの人。勢いはあるんだけど。
ううん。勢いがあるから、ノリで借金をしまくって、自己破産寸前なのかもしれないけど」
「………………じゃあ、とりあえずお前の親父さんを殴り倒しとけ。お仕置きってことで」
「気が合うわね。私もそうした方がいいかなーとは、うすうす思ってたのよね」
「そ、そうか? まぁ、やり過ぎない程度にな」
「分かってるわよ。借金返済目的の保険金殺人なんて、流行らないしね」
「流行り廃りの問題でもないだろ?」
「さって、んじゃ、今日の自己破産会議はこれでおしまいね。特に意見は聞けなかったけど、
お仕置きって言う方針決定したから、もうそれでいいわ。さぁ、やるわよ! まずは野球部に金属バットを借りに!」
「待て待て! マジで待て! せめて木製ばバットにしろとか、そう言うレベルの問題じゃないぞ、おい!」
そんなわけで、無様な自己破産父親に対して、娘は拳と棒切れで語ることを決意するのだった。
頑張れ、少女。負けるな、少女。でもやり過ぎにはマジで注意しろよ!