自己破産で結束
「親父。前から一度聞こうと思っていたんだが、我が家が自己破産に追い込まれかけている理由は何なんだ?」
「ふむ、これは中々に難しい質問だな。だが、あえて一言で済ませるとするならば…………パチンコのせいだ」
「そうか。パチンコで破産した友の連帯保証とかを受けて、やむなく多額の借金を背負い込んだってわけか。
我が家が自己破産になりかけているのはアレだが、しかしさすがは俺の親父だぜ! 危うい友を見捨てない! これぞ真の友情!」
「いや、一人で勝手に盛り上がるな。誰も友などとは一言も言っていない。ちゃんと人の話を聞け」
「…………じ、じゃあ、何か? パチンコにはまって、自己破産寸前まで我が家の財政を悪化させたのは、親父なのか?」
「そうだ。アレはやり始めると、中々抜け出せないものでな! はっはっはっは! ついには自己破産だ!」
「う、嘘だろ? 親父、嘘だよな……そんな、そんな馬鹿な話があるかよ!」
「何が馬鹿なものか! 現実から目をそらすな! ついでに人を嘘つき呼ばわりするとは、何事だ!」
「な、何なんだよ、親父っ! 分かった。あぁ、分かったよ! 自己破産は親父のせいなんだろ! その現実、認めてやるさ!
だが同時に、パチンコだなんて下らない理由で自己破産に追い込まれた親父なんかから、受ける説教などあるものか!
馬鹿馬鹿しい! 一体全体、何なんだよ! 親父が作った問題なんだろ? なら、この自己破産、自分で解決するんだな!
俺はもう、降りるぜ。自己破産問題をどうするかは、親父が自分一人で考えやがれ! 俺はもう、知らん!」
「ふんっ、逃げるのか?」
「逃げる? 違う、馬鹿馬鹿しくなっただけだ。だからもう、知らん!」
「いいや、違うな。お前は自己破産と言う困難に立ち向かわずとも良い理由を見つけ、それに縋っているだけに過ぎん!
それにだ。確かに自己破産という問題を招いたのは、私のパチンコかもしれない。お前のせいではないかもしれない。しかしだ!
すでに自己破産は目前なのだ。つまり、これはもう我が家の、家族全員の問題なのだ! それを知らんと言うお前はなんだ?
自分勝手に降りると言うお前はなんだ? 危うい家族を見捨てるお前に、本当の家族愛などない! 断じてないぞ、息子よ!」
「い、言われてみれば、確かに! お、俺は……俺は大切な家族を、親父を見捨てようとしていたのか!?」
「自己破産は、我が家全体の問題だ。当然、価値の高いマイホームも没収だ。お前の生まれ育ったこの家も、なくなるのだ!
さぁ、これでも関係がないと言えるか? 知らないと言えるか! 自己破産という現実から、目をそらしていいのか!?
お前は、私の自慢の息子は、そんなに薄情な人間だったというのか、答えろ! さぁ、どうなんだ!」
「俺は……俺は薄情な人間なんかじゃあないぞ、親父! そうだ、大切な家族なんだ! 家族の問題は俺の問題!
すまない、親父。カッとなって、ひどいことを言ってしまった。俺を、こんな馬鹿な俺を許してくれるか!?」
「いいや、謝るなら、私の方だ。もともと自己破産と言う状況を招いたのは、私なのだから。すまなかったな。
私は、馬鹿な親父だ。駄目な親父だ。だが、これからも見捨てずについて来てくれるか、息子よ?」
「もちろんだよ、親父!」
「よし、ではこれからも頑張っていこうな!」
「分かってる。よぉし、やるぞぉーっ!」
そんなわけで、自己破産対策により父親と家族愛を確かめ合った青年は、より一層奮起したのだった。
頑張れ、青年。負けるな、青年。正直、君はきっと人生を損している部分があると思うぞ!
でも頑張れ。超頑張れ。いつか報われる、その日まで!